映画『スタンド・バイ・ミー』に登場する チェリーパイ レシピ
はじめに
映画には、観る者の心に強く印象を残す食事のシーンが数多く存在します。今回ご紹介するのは、名作『スタンド・バイ・ミー』に登場するチェリーパイです。少年たちが初めてのタバコを吸いながら、分け合って食べるこのチェリーパイは、映画の舞台である夏の終わりのような、どこか甘酸っぱい思い出を感じさせる存在として描かれています。スクリーン越しにも伝わるその温かみのある見た目と、素朴ながらも美味しそうな雰囲気に魅了された方も多いのではないでしょうか。この記事では、あの映画のチェリーパイを、ご家庭で再現するためのレシピをご紹介いたします。
材料(直径約20cmのパイ皿1台分)
- 市販の冷凍パイシート:2枚(または、お好みのパイ生地適量)
- ダークチェリー(缶詰・シロップ漬け):内容総量約400g(固形量約200g)
- グラニュー糖:大さじ3〜4(チェリーの甘さによって調整)
- コーンスターチ:大さじ2
- レモン汁:小さじ1
- 無塩バター:10g
- 牛乳(つや出し用):少量
作り方
-
準備:
- 冷凍パイシートは、表示に従って冷蔵庫で解凍しておきます。
- オーブンを190℃に予熱しておきます。
- パイ皿にバター(分量外)を薄く塗っておきます。
-
フィリングを作る:
- ダークチェリーの缶詰を開け、シロップとチェリーを分けます。シロップは取っておきます。
- ボウルにチェリーを入れ、グラニュー糖、コーンスターチ、レモン汁を加えて混ぜ合わせます。コーンスターチが均一に混ざるように丁寧に混ぜてください。
- チェリーの缶詰シロップから大さじ3〜4を加え、再度混ぜ合わせます。シロップの量は、フィリングの固さを調整するために重要です。混ぜた際に少しとろみがつく程度が目安です。
-
パイ生地を準備する:
- 解凍したパイシート1枚をパイ皿より一回り大きく伸ばし、パイ皿に敷き込みます。底面にフォークなどで数カ所穴を開けてピケしておくと、焼いている間に生地が膨らみすぎるのを防ぐことができます。
- 余ったパイ生地は、飾りのために取っておきます。
-
パイを組み立てる:
- パイ皿に敷き込んだ生地の上に、手順2で作ったチェリーフィリングを流し入れます。フィリングが均等になるように広げてください。
- フィリングの上に、無塩バターを小さく切って数カ所に散らします。これにより、焼き上がりの風味が豊かになります。
- 残りのパイシート1枚を、パイ皿の大きさに合わせて用意します。この生地をパイの上にかぶせます。もし生地が足りない場合は、手順3で余った生地をつなぎ合わせたり、飾り切りにして使うことも可能です。
-
パイを閉じる:
- 上下のパイ生地の端をしっかりと閉じ合わせます。パイ皿の縁に沿って生地を内側に折り込み、指やフォークの背を使って押さえると、しっかりと閉じられます。余った生地は切り落とします。
- 上の生地の表面に数カ所、ナイフで切り込み(空気穴)を入れます。これにより、焼いている間にパイが破裂するのを防ぎ、中の湿気を逃がすことができます。
-
焼く:
- パイ生地の表面にハケで牛乳を薄く塗ると、焼き上がりの色がきれいになります。
- 予熱した190℃のオーブンで、まず約15分焼きます。
- その後、温度を180℃に下げて、さらに約20〜25分焼きます。パイ生地がきつね色になり、フィリングがふつふつと煮立ってくるまで焼いてください。もし途中で表面が焦げそうであれば、アルミホイルをかぶせてください。
-
仕上げ:
- 焼き上がったパイをオーブンから取り出し、ワイヤーラックの上で十分に冷まします。焼きたてはフィリングが非常に熱く、柔らかいため、冷めるまで待つことが重要です。冷めることでフィリングにとろみがつきます。
より美味しく、写真映えさせるポイント
- 盛り付け: 温かいチェリーパイに、バニラアイスクリームやホイップクリームを添えると、見た目も豪華になり、味のコントラストも楽しめます。映画のように素朴に切り分けてお皿に乗せるだけでも雰囲気が出ます。
- 焼き色: 表面に塗る牛乳の代わりに卵黄を少量水で溶いたものを塗ると、よりつややかな焼き色になります。
- 生地の飾り付け: 上のパイ生地を格子状にしたり、余った生地を型抜きして飾りに乗せたりすると、より手作り感が出て写真映えします。
映画と料理の背景(ネタバレ注意)
※本項目には映画のネタバレが含まれます。
『スタンド・バイ・ミー』に登場するチェリーパイは、少年たちが冒険の途中で立ち寄るダイナーで食べられます。彼らが初めてのタバコを吸い、少し大人びた会話を交わすシーンに登場し、その甘酸っぱい味と素朴な見た目は、彼らの少年時代の終わりや、これから始まる未来への希望、そして共に旅をする仲間との絆を象徴しているかのようです。決して豪華な料理ではありませんが、このパイを囲むひとときは、少年たちの思い出の中で特別な意味を持つ場面として描かれています。パイの味は、彼らが共有する経験や感情と深く結びついており、観る者にも郷愁を感じさせる要素となっています。
まとめ
映画『スタンド・バイ・ミー』のチェリーパイは、ただのお菓子ではなく、少年たちの旅の一部であり、忘れられない記憶と結びついた存在です。このレシピを通して、映画の感動を食卓で再現し、大切な人々と分け合う時間を楽しんでいただければ幸いです。ぜひ、映画のシーンを思い出しながら、温かいチェリーパイを味わってみてください。