映画『ジュリー&ジュリア』に登場する ビーフ・ブルギニョン レシピ
はじめに
映画『ジュリー&ジュリア』は、伝説の料理家ジュリア・チャイルドと、彼女のレシピに挑戦する現代の女性ジュリー・パウエルの二人の物語が交錯する作品です。特に印象的な料理の一つに、ジュリア・チャイルドの代表作である「ビーフ・ブルギニョン」(牛肉の赤ワイン煮)があります。
この料理は、ジュリーが自身のブログで「フレンチの女王」ジュリアの全レシピを一年で制覇するという目標を掲げた際に、最初に挑戦する料理の一つとして登場します。長時間煮込まれた牛肉はとろけるように柔らかく、赤ワインと野菜の旨味が凝縮されたソースは深みのある色合いをしています。画面越しでもその濃厚な香りや温かさが伝わってくるかのような、まさに「美味しそう」な見た目が食欲をそそります。
今回は、この映画に登場するビーフ・ブルギニョンを、ご家庭でも再現しやすいようにアレンジしたレシピをご紹介します。
材料
(4人分)
- 牛肩ロース(煮込み用): 500g
- 塩、黒胡椒: 適量
- 薄力粉: 大さじ2
- オリーブオイル: 大さじ2
- バター: 20g
- ベーコン(ブロック): 50g (1cm幅に切る)
- 玉ねぎ: 1個 (ざく切り)
- 人参: 1本 (乱切り)
- セロリ: 1/2本 (ざく切り)
- にんにく: 2かけ (潰すかみじん切り)
- マッシュルーム: 150g (石づきを取り、大きいものは半分に切る)
- 赤ワイン(フルボディ推奨): 500ml
- ビーフブロス(または水+コンソメ): 200ml
- トマトペースト: 大さじ1
- ローリエ: 1枚
- タイム(乾燥): 小さじ1/2
- パセリ(茎): 2本
- 砂糖: 小さじ1/2
作り方
- 牛肉の下準備: 牛肉は大きめの一口大に切り、キッチンペーパーで表面の水分をしっかりと拭き取ります。塩、黒胡椒を全体にしっかりと振り、薄力粉を薄くまぶします。
- 牛肉を焼く: 厚手の鍋にオリーブオイルとバター半量(10g)を熱し、牛肉の各面に焼き色がつくまで中強火でしっかりと焼きます。焼き終わった牛肉は一度鍋から取り出しておきます。肉の表面にしっかり焼き色をつけることで、旨味が閉じ込められ、香ばしさが増します。
- 野菜を炒める: 同じ鍋に残りのバター(10g)とベーコンを加えて弱火で炒め、脂が出てきたら玉ねぎ、人参、セロリを加えて玉ねぎが透き通るまでじっくりと炒めます。この時、野菜の甘みを引き出すように、焦げ付かないように注意しながら丁寧に行います。
- 香味野菜を加える: にんにくを加えて香りが立つまで炒めます。
- ワインと煮込み材料を加える: 鍋に焼いておいた牛肉を戻し入れ、赤ワインを加えて強火にし、アルコールを飛ばしながら鍋底についた旨味をこそげ落とします。ビーフブロス、トマトペースト、ローリエ、タイム、パセリの茎、砂糖を加えます。
- 煮込み: 蓋をして、弱火で牛肉が柔らかくなるまで2時間から2時間半ほど煮込みます。途中、水分が減りすぎたらブロス(または水)を少量加えてください。牛肉がフォークで簡単に裂けるくらいになるのが目安です。オーブンを使用する場合、160℃に予熱したオーブンで同様に煮込みます。(鍋をそのままオーブンに入れる場合は、蓋ができる耐熱性のものを使用してください。)
- マッシュルームを加える: 煮込み終わる少し前、残り30分くらいのところで、別のフライパンにバター(分量外)を熱し、マッシュルームをさっと炒めます。炒めたマッシュルームを鍋に加えます。
- 仕上げ: ローリエとパセリの茎を取り除き、塩、黒胡椒で味を調えます。必要であれば、煮汁を少し煮詰めてとろみをつけます。
より美味しく、写真映えさせるポイント
- 盛り付け: 深みのあるおしゃれな器に盛り付け、上からパセリのみじん切りを散らすと、彩りが加わりプロのような仕上がりになります。煮汁をたっぷりかけると、見た目にも美味しそうです。
- 添え物: マッシュポテトやバゲットを添えるのが定番です。濃厚なソースを絡めていただくと、より満足感のある一皿になります。緑の野菜(いんげんのソテーなど)を添えると、彩りがさらに豊かになります。
- ワイン: 煮込みに使用したのと同じ種類の赤ワインを一緒にいただくのがおすすめです。
映画と料理の背景(ネタバレ注意)
※本項目には映画のネタバレが含まれます。
ビーフ・ブルギニョンは、ジュリア・チャイルドがフランス料理学校「ル・コルドン・ブルー」で学び、後のベストセラー料理本『Mastering the Art of French Cooking』に掲載された、彼女にとって非常に重要なレシピの一つです。この料理は、フランスの家庭料理の代表格でありながら、その奥深さからフランス料理の基礎を学ぶ上でも欠かせない一品とされています。
映画の中でジュリーがこのビーフ・ブルギニョンに挑戦するシーンは、彼女がジュリア・チャイルドの料理に真剣に向き合い、その世界へ深く足を踏み入れていく過程を描く上で象徴的な意味を持ちます。初めての本格的な煮込み料理に戸惑いながらも、レシピ通りに丁寧に作業を進め、最終的に見事なビーフ・ブルギニョンを完成させた時のジュリーの達成感は、観る者にも伝わってきます。この料理が美味しく完成したことは、ジュリーのブログへの大きな自信となり、その後の料理挑戦への弾みとなります。単なる料理ではなく、ジュリーの人生を変えるきっかけの一つとなる、重要な位置づけの料理と言えます。
まとめ
映画『ジュリー&ジュリア』に登場するビーフ・ブルギニョンは、見た目の豪華さだけでなく、料理を作る過程そのものにも魅力を感じさせる一品です。少し手間はかかりますが、じっくりと時間をかけて煮込むことで、牛肉は驚くほど柔らかく、ソースは濃厚な味わいになります。
このビーフ・ブルギニョンを食卓に並べれば、まるで映画の世界に入り込んだかのような、特別な時間を過ごせるでしょう。ぜひ挑戦して、大切な人と一緒に映画の「美味しそう」を体験してみてください。