映画『グリーンブック』に登場する フライドチキン レシピ
はじめに
映画『グリーンブック』をご覧になった方にとって、印象的な食事シーンの一つにフライドチキンが登場することを覚えている方も多いのではないでしょうか。長距離の移動中に、主人公であるトニー・ヴァレロンガとドクター・シャーリーが車内でフライドチキンを食べるシーンは、その見た目の美味しさだけでなく、二人の関係性の変化をも象徴する重要な瞬間として描かれています。特にトニーが豪快にかぶりつく姿は、見ている側もお腹が空いてしまうほど、その美味しそうな見た目が際立っていました。
この記事では、そんな映画『グリーンブック』のフライドチキンを、ご家庭で再現するためのレシピをご紹介します。揚げたて熱々の、衣はカリッと、中はジューシーなフライドチキンを、ぜひご自宅で作ってみてください。
材料
(作りやすい分量)
- 鶏もも肉 または 骨付き鶏肉:500g程度
- 塩:小さじ1
- 粗挽き黒胡椒:小さじ1/2
- おろしにんにく:小さじ1
- おろししょうが:小さじ1
- 牛乳:100ml
- 卵:1個
【衣用】
- 薄力粉:100g
- 片栗粉:大さじ3
- ベーキングパウダー:小さじ1/2
- パプリカパウダー:小さじ1/2 (※)
- オニオンパウダー:小さじ1/2 (※)
- ガーリックパウダー:小さじ1/2 (※)
- カイエンペッパー:お好みで少量 (※)
- 塩:小さじ1/2
-
粗挽き黒胡椒:小さじ1/4
-
揚げ油:適量
(※)パプリカパウダー、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、カイエンペッパーは、もしなければ省略しても構いません。基本的な塩胡椒とベーキングパウダーだけでも美味しく仕上がります。
作り方
- 鶏肉の下準備: 鶏肉は余分な脂肪を取り除き、大きい場合は火が通りやすいように数カ所切り込みを入れるか、一口大よりもやや大きめに切ります。骨付き肉の場合は、骨に沿って切り込みを入れると火の通りが均一になります。キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取ります。
- 下味をつける: ボウルに鶏肉を入れ、塩、粗挽き黒胡椒、おろしにんにく、おろししょうがを加えてよく揉み込みます。さらに牛乳と卵を加えて全体になじませ、冷蔵庫で30分以上(できれば1時間程度)漬け込みます。牛乳や卵に漬け込むことで、鶏肉が柔らかくジューシーに仕上がります。
- 衣の準備: バットや広めの皿に衣用の薄力粉、片栗粉、ベーキングパウダー、(※のスパイス各種)、塩、粗挽き黒胡椒をすべて入れ、泡立て器などでよく混ぜ合わせます。ダマがないよう、しっかり混ぜるのがポイントです。
- 衣をつける: (2)の鶏肉を冷蔵庫から取り出し、軽く汁気を切りながら(3)の衣に一つずつしっかりとまぶします。衣をたっぷりとつけ、手で軽く押さえるようにすると、揚げたときに衣が剥がれにくくなります。
- 揚げる: 揚げ物鍋に揚げ油を入れ、170℃に予熱します。衣をつけた鶏肉を、鍋に一度に入れすぎないようにしてそっと入れます。鶏肉同士がくっつかないように間隔を空けてください。
- 火の通りを確認: 鶏肉の大きさにもよりますが、片面がきつね色になったら裏返し、合計で7分〜10分程度揚げます。竹串などを刺してみて、透明な肉汁が出れば火が通っています。もし赤い肉汁が出る場合は、もう少し揚げ時間を追加してください。焦げ付きそうな場合は、少し火力を弱めて調整します。
- 二度揚げ(推奨): 一度鶏肉をすべて取り出し、油の温度を180℃に上げます。油が温まったら、再び鶏肉を鍋に戻し、1分〜2分程度二度揚げします。二度揚げすることで衣がさらにカリッと仕上がり、油切れも良くなります。
- 油を切る: 揚げ終わった鶏肉は、網の上に取り出してしっかりと油を切ります。キッチンペーパーの上に置くと、油が衣に吸われてしまうことがあるため、網を使うのがおすすめです。
より美味しく、写真映えさせるポイント
- 盛り付け: 映画のシーンのように、バスケットや深めのボウルに盛り付けると雰囲が出ます。底にチェック柄の紙やワックスペーパーを敷くと、より本格的な「映画ごはん」らしい見た目になります。
- 添え物: フライドチキンには、さっぱりとしたコールスローや、クリーミーなマッシュポテトがよく合います。これらの添え物があると、彩りも豊かになり、栄養バランスも良くなります。レモンを添えて、食べる直前に絞りかけると、風味が引き締まります。
- スパイスアレンジ: 衣のスパイスはお好みで調整してください。少し辛みを加えたい場合はカイエンペッパーを多めに、ハーブの香りをプラスしたい場合は乾燥パセリやオレガノを少量加えるのも良いでしょう。
映画と料理の背景(ネタバレ注意)
※本項目には映画のネタバレが含まれます。
映画『グリーンブック』の中で、トニーがドクター・シャーリーにフライドチキンを食べるよう勧めるシーンは、単なる食事の場面以上の意味を持っています。クラシック音楽界の洗練されたピアニストであるドクター・シャーリーは、それまで人前で手づかみで食べたり、ジャンクフードを口にしたりすることは避けてきた人物として描かれています。一方、トニーは荒々しくも人間味あふれるイタリア系アメリカ人です。
このフライドチキンを一緒に食べるシーンは、二人の文化的背景や習慣の違いが明らかになる場面です。当初は戸惑っていたドクター・シャーリーが、トニーの強い勧めに最後はフライドチキンにかぶりつく姿は、彼が少しずつトニーを受け入れ、型にはまらないトニーの世界に触れていく過程を示唆しています。この食事の共有は、二人の間に芽生える友情と、互いの違いを理解し乗り越えていく物語の重要な要素の一つと言えます。フライドチキンという、アメリカ南部で親しまれる庶民的な料理が、二人の心の距離を縮めるきっかけの一つとして描かれているのです。
まとめ
映画『グリーンブック』に登場するフライドチキンは、その美味しそうな見た目だけでなく、物語の中で二人の主人公を結びつける象徴的な役割も果たしています。
今回ご紹介したレシピは、ご家庭でも挑戦しやすいようにアレンジしています。カリッと揚がった熱々のフライドチキンを頬張れば、映画で見たあのシーンを思い出し、作品の世界をより身近に感じられるかもしれません。ぜひ、週末などに挑戦して、美味しいフライドチキンと共に映画の世界を楽しんでみてください。